夜も朝も




「気が利くじゃねェか」
キッチンに立ち二人分の珈琲を淹れていると、背後からバクラがフッと笑いながら抱き付いてきた。するりと伸びてきた色白の手が淹れ終えたばかりのマグカップを取り、耳元に顔を寄せられる。
下着一枚に毛布を羽織った姿のバクラ。先にベッドから抜け出した自分は服を着ていて、気持ちを新たにまた一日を始めようとしていたのに。
「服を着ろ」
バクラの姿のせいで昨夜のことを思い出してしまった。折角の清々しい朝なのに、昨夜の、脳も身体も溶けてしまいそうになったバクラとのセックスを思い出してしまった。
服を着ていないバクラがただ抱き付いてきただけだというのに、じわりと紅くなる頬と早くなる鼓動。
背後のバクラに気付かれないようにマリクは喉を鳴らした。

(コイツもしかしてまた…?いやでも昨日あんなにしてきたんだから流石に今またすぐにってことはないよな…?)
脳裏に次々と蘇ってくる情事の内容。全身くまなく愛撫され、恥ずかしい場所をこじ開けられ、何度も何度も奥深い所まで攻められた。
数時間前まで自分の中にいた熱く雄々しいペニスを思い出した後孔がひくんと疼いて、慌てて下唇を噛んだ。
(いやいやいやいや、馬鹿かボクは!これじゃあまるで)
まるで、またすぐ抱かれるのを期待しているみたいじゃないか。
いつもバクラの事をいやらしい奴だの変態だのと怒っていたが、これでは自分も変わらないではないかと恥ずかしさと情けなさで動けずにいると、背後のバクラが動く気配がした。
次の瞬間、レロ、と耳の裏にぬるりと生温かい感触が。バクラが舌で舐めてきたのだ。
「!?」
突然のことにマリクの身体はビクンと跳ね、慌ててワークトップとバクラに挟まれた状態で振り返った。背後にいた男は、ニヤリといやらしい笑みを浮かべていた。
その表情にマリクの心はぞくんと震え、下腹部に淫熱が集まっていくのを感じた。
なあ、とバクラが色っぽい声で囁いてくる。
「ムラムラしたか?」
「してない!」

(その顔で、この距離で、見つめてくるなッ!)
普段ですらそう思うのに、雄を含んだ状態のバクラのその整った顔はマリクの心をどうしようもないくらい掻き乱してくる。視線を逸らしたら負けなような気がして、マリクは心情を見透かすように見つめてくる相手に対し本音とは裏腹に否定した。
なのにバクラは更に顔を近づけてきて、逃げ場のないマリクは赤らめた美貌を歪ませることしかできなかった。
「この後やんねー?」
「やらない!!」
やはりそうだったか。バクラの誘いの言葉に呆れて声を大にして叫んでしまった。しかし呆れた感情と同じくらいに嬉しいと思う気持ちがあって、悔しくて仕方なかった。
だがマリクの叫び声を間近で浴びても、バクラはその表情を崩さない。
「いいだろ。なあ、やろうぜマリク」
「ば、かっ、昨日あれだけしただろうが!貴様の性欲、どうなってるんだよ!」
ワークトップに置いていた手を取られ、手首にちゅ、ちゅ、と軽いキスをされた。ん、と甘い声が洩れてしまい、バクラが軽く笑った。
「昨日は昨日。今日は今日、だぜ。それにテメェだってこんなじゃねえか」
「あっ、や、めッ…!」
バクラの太腿が股間にぐりぐりと押し付けられる。緩く勃起していたことに、一体いつ気付かれたのか。
「バクラッ…!」
「嫌なら本気で抵抗しな、マリク」
「っ」

(ずるい、ずるい、この男だけは、本当に狡い…!)
抵抗できる筈がなかった。昨晩、いや毎晩抱かれているこの身体は、もうバクラとのセックスの快楽を覚えてしまっているのだ。
何も知らなかった自分に一から十まで叩き込んできた相手にこれだけエロティックに誘われて抵抗できる筈がなかった。
じっとり汗ばんだ手を握り締めたマリクは、ついに目の前の男から視線を逸らした。
ククッと笑ったバクラに、やはりマリクは悔しくて仕方なかった。




「そう拗ねんなって」
「…別に拗ねてない」
貴様と同じような自分の性欲にうんざりしているだけだ、とは言えず、腰に回された手を振り払うこともせず二人して寝室に向かっていた。
「まあ、二人で気持ちイイコトして全部忘れちまおうぜ」
どの口が言うんだ、と怒りたい気持ちになったが、快楽で全てを忘れたいという思いは確かにあった。欲にまみれた恥ずかしい自分を、バクラに抱かれることで忘れたかった。

「数時間前までここでヤりまくってたのにな。また戻ってきちまったなあ?」
「貴様ホントッ……うっ」
揶揄ってくる相手をマリクはキッと睨みつけた。しかし意に介さないバクラが寝室のドアを開ける。一歩足を踏み入れた途端、重たい空気が全身に纏わりついてきてマリクは顔を顰めた。
性行為後の独特なねっとりとしたいやらしいニオイが部屋に充満していたのだ。
「あー…換気するの忘れてたわ」
「お前なあ…!」
「まあいいだろ。ヤッてりゃすぐ気にならなくなるぜ。それとも、窓開けたままするか?」
「駄目に決まってるだろ!!!」
隣家と距離のあるど田舎の一軒家ならまだしも、ここは町中のマンションだ。供用廊下に面したこの寝室の窓を開けて休日の朝っぱらから欲にまみれたセックスだなんて、間違いなく明日からマンション住民に白い目で見られるだろう。

しかし不快なニオイではあったが、我慢できないほどではなかった。というより。
(昨日のことを思い出して…変な気持ちになる…ッ)
汗と体液が混ざったこのムンとしたニオイは、昨夜自分がどれだけ絶頂を迎え、そしてどれだけバクラのペニスを受け入れ性液を注ぎ込まれたのかを思い出させてきて、身体の芯から沸々と情欲が昂まってくるのが止められなかった。
今からまた、抱かれてしまう。お前はオレのモノだと知らしめられるように、強く激しく抱かれてしまうのだ。
「オイ」
「なに、あっ、ん」
バクラの声で現実に引き戻されたマリクは、はっとなって隣に立つ男に顔を向けた。至近距離にいたバクラが、唇を重ねてきた。



「ん…」
薄紫色の瞳を閉じて触れ合った唇の温かさに集中する。やわらかくてあたたかくて、優しい気持ちに包まれる。誰かとキスをするとこんな気持ちになれるだなんて、マリクはバクラと関係をもって初めて知った。目的の為に一時的に手を組んだだけだった相手に、こんな気持ちにさせられてしまうだなんて。

「ん…あ、ふッ…!んむ…」
しかし穏やかだった気分は、唇を割って潜り込んできたバクラの舌によって一転してしまう。
「あむ、ん、ふ、ンん、んんん」
伸びてきたねとりとした舌は一度口腔を舐め回したあと奥に潜めていた舌に辿り着き、先端でつつかれ、誘ってきた。おずおずと舌を伸ばせば食らい付くように激しく絡み付かれ、マリクはバクラの背に手を回して耐えようとした。
羽織っていた毛布はいつの間にか無くなっており、直に触れたバクラの背中は熱かった。

ちゅく、じゅる、ぬちゅ、じゅぷ
(はあ、あ、あ、気持ち、良い)
口から洩れる淫音がマリクの耳を犯してくる。熱くて、ぬるついていて、絡み合う箇所から全身に官能的な痺れが走る。
ふ、ふ、と甘い鼻息を漏らすマリクは腰の力が抜けそうになるのをなんとか耐えていたのだが、舌で口腔を蹂躙してくるバクラに鼻息荒く掻き抱かれ、ビクンと身体が跳ねてしまった。
(バクラの、もう、こんなに…っ)
密着したバクラの下半身の隆起したペニスの存在に、マリクの腰が無意識に揺れた。
見なくても分かってしまう。下着を破らんばかりの勢いで硬く反り勃ち血管を浮かび上がらせた雄の象徴は、入る場所を求めて脈打っているのだ。入る場所とはつまり、マリクのアナルだ。
本来そのための器官ではないのに、後孔は灼熱の肉塊を早く受け入れたいと疼いている。
勃起し我慢汁を溢しているであろうマリクのペニスも、早く触れられて吐精したいとビクビク震えていた。

「っはあ、マリ、ク」
「ッあ、や…め…あァ、あ、ん…!」
舌の交わりを解いたバクラが二人分の唾液でぬるついた唇でちゅっちゅっと肌を吸っていく。頬から顎へ、そして首へ。甘く噛み付かれ強く吸われ、確実にキスマークが付くその行為にマリクは口元からだらしなく唾液を垂らして喘ぐしかなかった。
力の入らない手で引き剥がそうとするが、興奮した雄はマリクの滑らかな褐色の首に吸い付き舐め回す事をやめてくれない。
漸く前回付けられた痕が消えたばかりだというのに、また隠さなければならないではないか。来日時に身に付けていた首全体を覆い隠す金の装身具は今でも手放すことが出来ずにいた。持っていて良かった、と濃いキスマークを初めて付けられた時に安堵したことを未だに覚えている。
「ああっ、はあっ、あ、ん、ば、か、もう、やめッ…」
「あ?誰がやめるかよ…」
「あっ?まっ待てバクラ、あっ、あはぁッ…〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
随分前からピンと勃っていた乳首を、服の裾から潜り込んできたバクラの指がキュッと摘んできた。尖りきったそこはマリクの弱点の一つで、鋭く甘い刺激に腰が跳ねるのが止まらない。
「あうっうっはあ、ア、あ…〜〜〜…!!」
「はあ、ハ、ん、ん」
興奮しきったバクラがじゅるじゅると首を吸いながらマリクの胸を弄り続けてくる。恥ずかしい尖りを摘む愛撫から爪先で弾くものに変えられ、その素早い動きにふるふると首を横に振った。

「…脱ぎな、マリク」
ちゅぱ、といやらしい音を立てて漸く首から顔を離したバクラに耳元で熱く囁かれ、興奮で掠れたその声に官能が疼くのが止まらずマリクは頷く事しかできない。
胸を軽く押し、その際バクラの男根が下着を押し上げているのが見えてしまいマリクは下唇をきゅっと噛み、はやる気持ちを抑えながら着ていた上着を脱ぎ捨てた。
「下もな」
「わ、かってるよ…!」
ウエストゴムのズボンに手をかけするりと脱ぎ捨てる。露わになった褐色の艶美な肉体。濃いアイラインで囲った大きな目を淫熱で潤ませた、誰もが羨み目を奪われてしまう美貌と抜群のプロポーションを持ち合わせたこの青年が十六歳などと、一体誰が初見で分かるだろうか。そしてマリクは自身の外見の良さを自覚しておらず、バクラが自分に執着する理由の一つになっているということにも気付いていなかった。 そんな美しい青年のペニスもまたバクラと同じように下着を押し上げて勃起しており、そして先端から溢れた我慢汁が生地を濡らしていた。
全身にいやらしいフェロモンを纏わせながらバクラを見ると満足そうな笑みを浮かべていて、いたたまれなくて顔を背けるとちゅくりと鎖骨に吸いつかれた。

「ん、う」
熱い舌がねとねとと這い、下へと降りていく。
「はあ、あ、んんっ、ん、ん…ーーーー!!!!!」
辿り着いた先の乳首をちゅうっと一吸いされ、マリクは美貌を崩して喘いだ。はあ、はあ、と激しく興奮した状態のバクラが舌で転がし、突起を唇で挟み、熱烈に吸い上げてくる。
血液が沸騰しているのではないかと思うくらい全身が熱く燃え思考能力が低下していく。どろどろとした熱い情欲が溢れ、マリクの理性を侵食していった。

「あああっ、あ、ひ、う、ぅうん」
びくんびくんと肌を震わせながら喘ぎ続けるマリク。
バクラに開発された乳首をバクラに攻められる快感。男である自分が乳首でここまで感じるようになってしまったなんて不名誉極まりなかったが、快楽には勝てないのでどうしようもなかった。
乳頭への甘く濃厚な攻めに射精感が昂まってくる。後孔が早くバクラのペニスを食べさせろとずっと訴えていたので、マリクはこのままイってしまわないようにボクサーパンツの上から硬くなった肉茎を握って堪えた。
そんなマリクに気付いたバクラが愛撫を止め、陰茎を握り締めていた褐色の手に白い手を乗せてきた。
「オイ、我慢するんじゃねえよ」
マリクは再び首を横に振った。
「…ああ、そういうことか」
「は…?んむッ」
快楽に身を任せず抗おうしているマリクに不満顔のバクラだったが、すぐにいつもの余裕がある表情に戻った。
短いディープキスをされ、ちゅる、とマリクの舌を吸って顔を離したバクラが口を動かす。
「ハメられてからイきてェんだろ?」
簡単に言い当てられてしまったマリクの淫らな思い。反射的に違うと叫びそうになったが、しかし事実だったのでマリクは恥ずかしさのあまり涙が滲んできてしまう。
これでは淫乱以外の何ものでもないではないかと反応出来ずにいると、ぐ、と怒張した雄の象徴を押し付けられた。

「オレも早くテメェをハメてぇんだよ。奇遇だなマリク」
「あっ待てオイッ!こらっ!んっあ、あ……っ!!」
ベッドに押し倒され下着越しにペニスを握っていた手を剥がされ、一部分だけじっとりと濡れたボクサーパンツを一気に脱がされた。
自身の指を舐めたバクラが間髪入れずに閉じたマリクのアナルを撫で、つぷりと一本だけ押し込まれる。
入ってきた異物に腸壁は一瞬押し返そうとしたが、それがバクラの指だと気付くと悦んで奥へ奥へと招き入れていった。
「ハッ、すげぇやわらけー。やーらしいなぁ?」
「ッほんっとふざけるなよ!それは貴様が、んん、ふ、昨日の夜ボクを…っ!!」
「あぁそうだな。オレ様がテメェを抱きまくったからな。何回ケツのナカに出されたか、お前覚えてるか?」
「そんなこと覚えられるハズないだろ!ああっ…ひ!?ば、バクラっそこっ」

もう一本潜り込んできた指が先に入っていた指と腸内で合流し、ぐりぐりと前立腺を刺激してきた。
「握っててやるからまだイくんじゃねえぞ」
「だっ、たら!そこっ…触るなよバカぁっ!アッアッんっうっうぅうううっ…!!!あーー……ッ!!」
天を向いてたらたらと汁を溢していたペニスを根元から強く握られ、激しい快感に射精したいのに出来なくてマリクは涙をぽろぽろ溢しながら顔を腕で覆い喘ぐしかなった。
狭い腸内を拡張するように二指を拡げて引き抜かれた頃には、マリクの顔はぐしゃぐしゃに濡れていた。
「よく我慢できたな。イイ子だマリク」
「ううっ、う、うぅ…」
スンと鼻を鳴らしてバクラを睨み付ける。マリクを組み敷き指で腸内を攻めてきた美形の男は、上体を起こしてその顔に浮かんだ興奮を一切隠すことなく下着を脱いでいる最中だった。
現れたバクラの欲望の塊。ギンと反り勃ったソレは今にもはち切れんばかりに膨張しており、亀頭はテラテラと光り鈴口には透明の体液がぷくりと浮かんでいる。

…ごくん。
(ああ、欲し、い)
自然と喉が鳴ってしまった。
欲する思いが止まらない。自分の体内の一番深い所まできてほしい思いが止まらない。バクラと一つになりたい思いが、止まらない。
何故だか分からなかったが目頭が熱くなってきて、溢れ出たそれをマリクは手の甲で拭い取った。

両脚を左右に大きく開かれる。恥ずかしい部分が丸見えになるこの体勢は何度やっても慣れることはなかったが、こうしなければ挿入できないのだから仕方がない。
恥辱的ではあるが自分を抱くバクラの表情を見ることが出来るのでマリクは好きだった。絶対に言ってやらないが。
「う、あ」
赤く張った分厚い肉傘が秘穴に押し当てられめりめりと捻じ込まれる。二本の指で慣らされはしたが、圧迫感は指とは全くの別物だ。
肉壁が待ち望んだバクラのペニスにきゅうきゅうと絡み付く。
「アアッ!あああ、ぁ…〜〜ッ!!!」
狭い肉路をこじ開け進んでいく肉棒の先端が前立腺を抉り、先程まで絶頂を抑えられていたマリクはあっさりと射精してしまった。褐色の肌に半透明の白い精液が散る。
アナルの収縮に、同じように絶頂寸前の状態だったバクラが低く唸った。
「っはあ、イッちまったのかよ…」
熱い息を吐くバクラは眉を寄せていて、なんとか射精を堪えたらしい。受け入れているマリクは動きを止めたバクラのペニスがまだ硬さを保っているのがはっきりと分かるからだ。
「つってもまだ終わるワケじゃねえけどなあッ…!」
「ひ、イッ…い…!」
イッたばかりの腸内を途中までしか挿れていなかったペニスで容赦無くバクラが貫いてくる。
褐色の臀部とバクラの白い下腹部が密着する頃には、圧迫感による苦しさはどこかへ消え去っていた。
マリクは完全に男根を挿れ終えたバクラの顔を見た。汗を浮かばせ眉を寄せ、いつもの余裕のある表情はそこにない、男の顔をしたバクラを見た。体内に籠った熱を吐き出すその呼吸音も、何もかもが色っぽくて堪らない気持ちになった。



「…そんなにオレ様の顔が好きかよ」
嬉しそうな声色にマリクは慌てて顔を背けた。
「…うるさい、バカ」
「それじゃあハイそうですっつってんのと同じだぜ…?」
「っちが、あっ!あぁ…っ!はぅ、うぅんっ…!」
最奥まで届いていたペニスがずるりと出ていき、亀頭と肉茎の境目まで抜けたところでまたナカに戻ってくる。
「あっあうっんっアッ、あっあっあっあっ…あーっあーっあぁあああっ…!!!」
ずっ…ずっ…ぐちっ…ぐちっ…ずぶっずぶっずぶっずぶっ、ぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐぢゅっ!!
初めはゆっくりと、徐々に早くなってくるピストン運動。膨れ上がった肉棒が何度も何度も内部を擦り上げてくる。喪失感と充足感が交互に襲ってきて、気持ち良くて、たまらなくて、マリクの口からは甘い喘ぎが出続けた。
腸壁は叩きつけられる男根に吸い付いて離れようとしない。
突き上げられる中、ちらりとバクラの顔を見た。腰を激しく動かし自分の身体を夢中になって貪ってくるバクラの赤い顔。昨晩も見たのに、何度見ても性感を刺激してくる。
マリクの陰茎はいつの間にか復活していて突き上げられる衝撃にブルブルと揺れていた。

「エロ…はあ、堪んねぇなマリクお前、ホント」
浅く荒い呼吸と共に途切れ途切れにそう言われマリクは陶酔しそうになる。貴様だってエロいだろうが、と言いたかったがもう脳内は強すぎる快楽にどろどろに溶かされ思った言葉を口にすることも叶わなかった。
ズボッズボッとピストン運動が激しさを増す。美麗な眉を寄せギュッと目を閉じたマリクもまた、近付いてきた二度目の絶頂に喘ぎ続けた。
「おいマリクッ、そろそろ…っ」
「ううっ、うんっんっ、ボクも、イ、く…もうイッちゃう、あっ!あ…!ああああああっ…!!!」
「ぐっ…!!!」
ぐちゅんっ!と最後に一番深いところまでペニスを突き刺されマリクはびゅくりと射精した。腰をもうこれ以上進めない所まで押し付けてきたバクラのペニスが弾け、マリクの腸内にザーメンをドクドクと叩きつけてきた。

「…はあっ…はあ…あ、ん……」
息を整えているとペニスをずるりと引き抜かれた。
「…な。ヤッて良かっただろ?」
「…知るかっ…!」
マリクは自身の唇をギリっと噛んでバクラから顔を逸らした。
(……やっぱりボク、駄目だ…コイツのせいでどうしようもないほど淫乱になってしまった…!!)
ナカから消えてしまったバクラの雄を探してぐねぐねと蠢く腸壁。
ペニスはまだあと最低でも二回は淫楽に耽りたいとまた勃ち上がろうとしている。
ここは何とか気付かれないようやり過ごして後でトイレで処理しなければ、と脱ぎ捨てた服を拾うためにベッドから降りようとすると、伸びてきた手が阻止してきた。
「オイ。誰が一回で終わるっつったよ。今日は休日だ。とことん付き合ってもらうぜ?」
また心の内を見透かされてしまったのだろうか。けれど今は、そんなことどうでも良かった。
「……ッもう、好きにしろ…!」

引き寄せられて再び交じり合う。
(了、本当に、ごめん)
バクラの肉体の持ち主である了に胸の中で謝りつつ、瞳を閉じたマリクはバクラとの爛れた休日に耽ることにしたのだった。



end.

夜も朝も、バクラの全てに蕩かされてしまう。

Twitterでフォロワーさんの、素肌に毛布を羽織ったバクラがキッチンに立つマリクに後ろから抱き付くバクマリイラスト(この話の最初の辺り)を拝見しビビビと萌えて続きの話を書かせてもらいました!
そうしたらなんと挿絵を描いていただけることに!ワガママを言って二枚も!(またお前は)
どれだけヤった後でもバクラに誘われたら断れないマリク。バクラのことも、バクラとする気持良いことも大好きで虜になっている16歳。


ありがとうございました!