褐色ナース
「もー……何やってんだよお前は〜…っ」
「おいおいマリク、それオレ様に言うなよ」
握った拳でぽふんとベッドを殴ったマリクは、じと目でバクラを見た。
掌と肩と足に包帯を巻かれたバクラはいつもの調子で笑った。
「つーかオレ様が表に出てなかったら宿主サマとこの体は今頃天国だぜ?褒めて欲しいくらいだっつうの」
「あ、そういえばこれ」
「いや…オレ様の話聞けよ……」
数時間前。
遊戯達といつもの帰り道を歩いていた獏良は一匹の子猫を見つけた。
道路を挟んで反対側の植え込みに身を潜めていたその子猫には首輪がついていなかったので、
どうやらその周辺に住み着いている野良猫なのだろう。
茶色の毛を持つその猫を見ていると、獏良はふと同居している人物が頭に浮かんで頬の筋肉がふにゃりと弛んだ。
しばらくその場に立ち止まっていたのだが、大分先の方まで行っていた遊戯達に呼ばれ、名残惜しく思いながらもそこから去ろうとした。
少し前に進んで、もう一度だけ、と目をやるといつの間にか子猫は植え込みから出て、道路に飛び出していたのだ。
交通量の多いその道路は、どちらからも車が来ている。
獏良は“危ない”と思うよりも先に足が動き自分もまた道路へ飛び出した。
そこで己の宿主の生命の危機を感じたバクラは自分が表に出現し、持ち前の運動神経の良さで大怪我を免れたのだ。
そのことを遊戯からの電話で知ったマリクはバイクを飛ばし、今ここにいる。
「これ」
白いベッドの上に置かれたのは少し大きめの箱。
「なんだこりゃ」
「さぁ?海馬がお前に渡してくれって。なんだか信じられないけど」
「社長が?」
「何?見舞いの品?甘いものかな?!」
その黒く怪しい箱をきらきらとした目で見つめるマリク。
そういえばコイツ甘いモン好きだったな、とさっさと開けろと言わんばかりに自分を見てくるマリクに眉尻を下げた。
床頭台に置いてあった果物ナイフを取り手際よく箱を留めていたテープを剥がしていく。
「うぉ、」
箱を開け中を確認した瞬間、バクラはニヤリと顔を歪ませた。
(やぁっとくれる気になったのかァ…)
「なーなー!なんなんだよ一体?!ボクにも見せろよ!!」
「あー?」
来客用のパイプ椅子をガタガタと鳴らすマリクと箱の中身を交互に見やる。
口を尖らせて菖蒲の瞳でこちらを見てくる恋人に、次第に悪戯心が頭をもたげ始めてくる。
「気になるか?」
「うん」
「見てェ?」
「うん」
「なら仕方ねえなぁ」
テメェが悪ぃんだぜ、と一言マリクに言いバクラは細腕を掴みベッドへ引き寄せた。
糊で綺麗に仕上げられていたシーツはぐしゃぐしゃに波打っている。
「くぅ、ふ…あっ」
「イイねぇ褐色の肌のナースっつーのも」
「はあッ、はぁ…あ……この、変態め…っ!」
腰を跨がされ、マリクはスカートの中に手を突っ込まれニチャニチャとペニスを扱かれていた。
上下に扱かれる度にバクラの手によってスカートが盛り上がってしまい、思わず顔がかあっと赤く染まるがそれがまた相手を喜ばせることになる。
「なぁ…ナースってのは患者を気持ちよくさせてくれるもんだろ…?」
「は…ハァ…あ、くふぅっ……」
「なのにテメェが悦がってどうすんだよオイ!」
「いあっ!あっアァあアアッ!!!」
ぐぢゅぢゅぢゅっ!
ブブ…、とアナルの奥でくぐもった音を鳴らすバイブを容赦なく出し入れされ、マリクは背を反らせる。
大した怪我ではなかったものの、血を幾らか流してしまったバクラは感情が高ぶっていた。
箱の中には何種類かのコスチュームと、ローターやアナルビーズ、猿ぐつわ等の所謂大人の玩具と称されるものが入っていた。今マリクの中を犯すバイブもその内の一つだ。
バクラが怪我をしている為か、コスチュームの中のナース服を着ることを強要してもあまり嫌がることはなかった。
そんな従順なマリクに、バクラはいつもよりサディスティックな気分になっていた。
「あ、ぁぅっ!あ、だってそれ、は、お前がっボクに……ッ!」
「オレ様が?何よ?」
「ひゃふっ…!!」
突起まみれの極太のバイブで粘膜を刺激しながらチャックを下げスカートをずり下ろす。それと同時に現れた硬く勃起したマリクのペニス。
小刻みに震える象牙色の柔らかい髪の中に手を差し込み自分の元へと引き寄せ、ほんのり赤く色付いた耳の穴にバクラは舌を差し込む。
くちゃくちゃと脳を揺さぶる熱い舌に下腹部がずくんと疼き、マリクはカウパーを垂れ流すペニスに手を伸ばそうとする。
『何勝手にオナろうとしてんだァ、淫乱マゾヒストナースさんよぉ…』
「ひ…ィ……ッ!!」
低く甘い囁きにマリクは秘めたるマゾ心を刺激され、太腿を痙攣させながらバクラに抱き付く。
バクラは包帯に巻かれていない方の手で精子の詰まったマリクの陰嚢をゆっくりと揉みしだいた。
『なぁ…可愛いナースさんのチンポをオレ様の傷口に擦り付けてくれたら早く治るかも…』
「…ハァッ、な、…何…バカなことっ…言って……あ、あ…ッ!!」
『マリクぅ…オレだって早く治して家で思う存分テメェと愛し合いてェんだよ…なあ…分かんだろこのキモチ……』
「やっ…で、もッ」
『クク…ナースコール、押してやってもいいんだぜぇ?』
脅迫に、マリクは目を見開きガクガクと身体を震わせた。
押すことはないと分かっていても、もし、万が一のことを考えると……
「分かったッ!分かったからっ…!!!」
頭を引き寄せていたバクラの手を引き剥がし、少し身体を後ろへ移動させる。
そして包帯に巻かれたその手をびくびくとカウパーを溢れさせ続ける鈴口に押し付けた。
「あッ…!」
「おー、やりゃ出来るじゃねぇか」
「う、煩いっ!あっあっあッ!ひ、ヤぁっ……!!!」
「淫乱が…腰揺れてんぜぇ…?」
そう嘲笑するバクラの息も走り終えた後のように荒く。
白い包帯と膨れ上がった亀頭の赤色のコントラストに喉を鳴らす。
「そういや後ろに突っ込んだままだったな。動かして欲しいだろ…欲しいよなぁ」
独り言のように言ったバクラはアナルに突き刺さったままのバイブを掴み、最奥まで侵入させた。
腹を突き破るようなバイブの激しい動きにマリクは涎を垂れ流す。
「あっ。あっあっあっあっぁはぁッや、やめッ、イ、イくっ」
「イけよマリク…テメェのザーメンぶちまけちまえ…」
「……ッく!!ヒ、ぃっ、アァアアアアアアアアアアアァアア……っ!!!!!」
びゅぐっびゅるぅっ
勢い良く噴き出した白濁の精液はバクラの包帯にべっとりと染み込んだ。
「ぁ……はぁっ…はぁ……」
「さて、と」
「え…?な、なんでズボン下ろしてるんだ?!や、やめ、しまえよっ!」
マリクは視界に入った獰猛な獣のペニスに後退る。
「コレも怪我してるみてぇでなァ。ほら、赤く腫れて汁零してやがる。テメェの身体ン中で治してもらいたいんだとよ」
「それは男なら誰だってなるんだッ!っひ、い………!」
綺麗に漂白されたシーツは粘りのある白によって汚されていくのだった。