最終決戦








「イはああァ…〜ッ…!あ、あぁッ!バ、クラぁ!もっと、もっと、ぉ…ッ!!」
「ククッ…いいの、かマリク、ん…なッ、乱れちまってよ、おッ?」
「んアァア〜〜!いッイイッ!ばくっばッ、んはぁあっあっああっあっいっんあァアアアッ!!」
「ヒャハッ…いいねェマリク……なぁ、そう思わねぇ?王様よォ?」



「マ………リ、ク…バク……ラ……っ」


闇遊戯───今はまだ名も無き王───は目の前の現状を信じられないといった表情で見ていた。
いや、遊戯は「見る」ことしか出来なかったのだ。





名も無き王の名を探す為遊戯達一行は王の記憶の世界、三千年前の紛争の地エジプトにて行動をしていた。
『記憶』の世界だけあってこの世界に存在しているものに触れることはできない。
歩き、会話し、日常を過ごす人もまた然り。
相手からはこちらの声も聞こえず姿も見えていなかった。

遊戯達にとっては痛みを伴う現実であるがこの『記憶』の世界は全て闇遊戯の過去の記憶を千年パズルと神のカードを通して模されたゲームの世界である。
そして心が記憶の世界へと飛んでいった遊戯の体に闇遊戯の心が宿り、気付いた時には童実野美術館隠し部屋に設置した闇TRPGのテーブルに着かされていた。
対面には、同じ三千年の時を経て甦った不敵な笑みを浮かべた闇バクラの姿が。



それは、ストーリーも終盤に差し掛かり刹那も息をつけない状況が続いている中で突然起こった。


「なァ王様よお」
「っなんだバクラッ」
ピリピリとした場の中、バクラは挑発的な声でテーブル越しに遊戯を呼んだ。
テーブルに肘をつき組んだ手の上に顎を乗せていた男はニンマリと笑い、背凭れに背を預けた。

「ちぃとばかし休憩をとらねェか?」
「…な………!!」

いきなりの提案に目を見開いた遊戯は、ダン!と勢いよくテーブルに手を叩きつけ立ち上がった。

「バクラ貴様ぁあ!ッッ今のこの状況が分かっているのか?!!ふざけるのも大概にしろ!」
「そう怒んなって王サマよぉ。腹が減ってはなんとやら…つうだろ?それと同じだ。こんな神経の使うこと、ブッ通しで出来るわきゃねえぜ」

「っ貴…様ァアッ」

「おっと…その場から動くなよ遊戯。テメェの仲間なんざ、オレ様の分身が本気を出しゃあイチコロなんだぜェ…クク」

「クッ……!」

その言葉に、ぐ、と遊戯は一歩出した足を引っ込ませる。
相棒の、友人の死を代償にこの闇のゲームに勝利しても何の意味も成さない。
「……どうすればいい…」
「聞き分けが良いのはイイコトだぜ王様?ま、もう一度椅子に座りなよ」

大人しく、だが燃える怒りを顔に出して椅子に腰掛ける遊戯。

「だがプレイヤーが休憩中でもNPC(ノンプレイヤーキャラクター)達は勝手に動いちまう。そこでだ、………これを使うことにするぜ」
「四つ目の・・・砂時計だと…?!」

懐から取り出されたそれに、ゴクリと息を飲む。
プレイヤーバクラのみが使える、特殊な効果を持った砂時計。

「さっきは駒の動きのみを止めさせてもらったがな、今度は全ての時間を止めさせてもらう。だから安心しなあ?」

カッ
効果を説明したバクラは砂時計を反転させ時を止める。
サラサラと流れ落ちる砂の速度は今までのどの砂時計よりも遅く、そして量が多かった。

そんなにも休息をとりたかったのか…?こういう男だったろうか、いや…違う


遊戯は自問自答した。
そもそも砂の落ちる速度からして一時間はゆうにあるだろう。
一体何が目的なのか…。


「王様、アンタも砂が落ち終わるまでゆっくりしときなァ」
「バクラ…貴様は…」
「オレかぁ?オレ様もオレ様でのんびりさせてもらうぜ。……なあ?」


ヂャラン…ヂャラ、


何処にあったのだろうか、千年パズルの鎖よりも太い鎖をいつの間にか手にしていたバクラは暗闇の方に声をかけ、鎖を引いた。
ペタン…ペタン…と奥から現れたのは、人間。
その姿に遊戯ははっとなった。

「バク…………あ…!?…ファラ、オ…?」

「来なマリク。王様にオレ達の仲の良さを見せつけてやろうぜ」


動揺に目を瞬かせ動きを止めたマリクを愛おしげに見つめると、首輪から繋がる鎖を強く引きマリクを自分のもとへと歩かせた。
簡易布を纏う、というよりもただ被せられただけの服装をしたマリクの瞳には光が宿っていなかった。
かたかたと全身を震わすマリクの腰を抱き寄せ顔を埋めバクラは嬉しそうに表情を歪めた。

「つーワケでオレ達は今から何発かヤる…あぁ…童貞の王様にゃ分かんねェか。しばらくセックスしてるからよ、邪魔すんなよ?」
「なっ、」
「ば、バクラ待…んむッ、ん、ふ……!」

制止の言葉を待たずしてバクラはマリクの顔を引き寄せキスをした。
息継ぎなしのキスを続けていると嫌がっていたマリクの身体からは次第に力が抜け始め、いつの間にか縋るようにバクラの服を掴んでいた。
鎖が、ジャラン、と鳴る。
「は…、は……ば、バク」
「ハァ…イイ子だマリク」

とろんと蜜のように溶けた菖蒲がバクラを見つめ、もう一度唇を合わせようとしたところで横槍が入った。

「───ッ何やってるんだお前らは!!」
「あァン?」

目の前の出来事を呆然と見ていた遊戯が声を荒げると、不機嫌極まりない表情でバクラが遊戯を見た。

「マリク!!お前に一体何があったんだ?!何故そんな格好でバクラに鎖で繋がれているんだッ。おい!マリク!」
「ファ…ラオ……」
「どうした王様?マリクはオレ様の恋人だから繋げてんだ。別におかしかねぇだろ」
「バクラ!貴様には聞いていない!!」
「おーおー怖いねえ。だがマリクはオレ様とのキスでメロメロになっちまったみてぇでなあ。もう何も答えられそうにねェぜ、ほら」

そう促されて見てみると、頬をうっすらと染めたマリクは足取りもおぼつかないようで、椅子に座るバクラに支えられてようやく立てているようだった。
男同士であることは遊戯は既知の事実だ。が、何故、と疑問ばかりが膨らんでいく。
なんと言えばいいのだろうかと遊戯が淫らに舌を絡ませ合う二人から目を逸らした時、

「王様よぉ…ハァ…オレ様がさっき言ったこと、ん、覚えてるかぁ?」
「……なんだ、」

バクラがこちらを見ずに、キスの合間合間に喋り始める。
前を向くのに躊躇したが、出来るだけ首より上を見ないようにして遊戯は顔を上げた。

「オレ様、が、勝ったら…ん…世界を破壊と絶望に…塗り替えてやるってよ、お」
「…それがどうした」
「遊戯ィ…オレ様は元々その為にこの世に甦った。だがな…」

ちょっと待てよ、とキスをねだるマリクに優しい声色で言う。

「一人っつうのはな、やっぱ寂しいんだわ。…だからオレは予定を変更した」
「ん…ん…ばくらぁ…」
「オレ様はマリクのみを生かすことにした。二人だけの世界で、毎日愛し合ってくんだよ。ククク…ク、ヒャハハハハハハハハハ!!!」

この男から『愛』などという言葉が出てくるなんて。遊戯は半ば信じられなかった。
すりすりとバクラに身を寄せるマリクを睨みつけてみるも、淫猥な舌なめずりを返されるだけで。
お前は光を見つけたんじゃなかったのかマリク、と怒鳴ってやりたかったのだが、気付けばスラックスの下では男の部分が反応していて、遊戯の表情は一瞬にして蒼白なものになる。


その遊戯の変化を見逃さなかったバクラはククク、と低く笑った。

「ンん…?もしや王様テメェ、チンコ勃っちまったのか?」
「ッ?!なに言ってッ」
「まぁスイッチの入っちまったマリクを見てんだ…無理もねェか。つーかあんたも欲情すんだな」

「けどよ、アンタにゃ触れさせねえぜ?」

ペニスが勃起しているのは確かだったが、誰が触りたいものか、と遊戯は思った。
しかし次の瞬間遊戯の体中が、ビクン!と硬直したのだ。

「がっあ…?!ぐっ…、な…んだこれ、はッ……!?」
「ククク。千年リングの力で遊戯、アンタの動きを止めさせてもらったぜ」
「んあ、バクラ、バクラぁ……早くしろよっ」
「あーわぁってるっつーの。ったくこのエロ猫が」

身体をくねらせ、布からスラリと伸びた手をバクラの首へと回し頬を舌で舐めてくるマリク。
ふっと笑ったバクラは象牙色の髪を撫でた。

「目ェ逸らさずにしっかり見ててくれよ王様?」




「オレ達のセックスを」





こうして遊戯は動けない体で残り五十分、肉欲と愛欲にまみれた艶めかしい情交を見せ付けられるのだった。













遊戯は何度も唾を嚥下していた。


「ク、はぁ、はあッ、舌っ出せよっ、んっんむ、ん」
「ばくらっんふ、んにゅっんぷッむぅうう……!」

熱い二枚の舌が相手の熱を求めて絡まり合う。
見えない口内で根元まで深く犯し合い、口を開けて濡れた舌先をくるくる、ぺちゃぺちゃと遊ばせれば粘着質な水音が静かな部屋に響く。
座っているバクラに向かい合って被さるマリクは、アナルで勃起したペニスを飲み込んでいた。
絶えず小刻みに腰を揺さぶられている為にちにちにちと肉棒と腸壁が擦れる音が耳に入る。
遊戯は眉を寄せ、出来ることなら二人の結合を引き剥がしてやりたいと思った。
だがしかし千年リングの力があまりにも強大で、呼吸は苦なく出来ているのだが微動だにすることができない。
開かれた瞼もがっちりと固定されており視線も二人から逸らせず、動かせない手を握り締めたい気持ちだった。

「マリク、ん、ん…いつも以上に締まってるぜェ?」
「んっんはぁあ…だって仕方っなッ…バクラだってっアッいつもより太すぎる、うっ…」
「オレ様は、まぁ、な…。…ん…?王様に見られてるからか?」
「ああぁんッ!!」

縋るマリクの尻を布の上から揉みしだくと甘い声が上がりバクラを喜ばせた。

「恥ずかっしいの、かよ?チンポひくつかせてケツん中女みてぇにさせやがって!」
「あっアァッあんっ!!」
「ヒャハァッ…墓守のお前がこんなエロい奴だと知って…王様は非常に落胆なさってるようだぜェ。どうするマリク?」
「んうッううっああんッハっなに、がっ」
「はぁ…こうなったら全部見せてやるか」
「えっなにっばくらッ!!?」

縋り付いていたマリクのしなやかな身体を抱え、繋がったまま褐色の肢体をフィールドテーブルの上に斜めになるように乗せた。
その間もマリクはアンアンと甘ったるい声で、埋まっているペニスが腸内で動く刺激に喘いでいた。

「や、んはァ…〜!」

「好きだぜマリク、ハァ…ハァ………」

「くそっ…バクラァアッ!!」

「は…どうだい王様。これでアンタが一番見たかった部分ッが、見える、だろ?」


言ってバクラは、マリクの服代わりの布を胸までたくし上げ、勃起した乳首とペニスを遊戯に見せる。
そのまま仰向けに寝かせたマリクの片足を持ち上げると、結合部分が少しだが遊戯に見えるようになった。

「ほらマリク見てみな…王様のヤツ、テメェの身体をしっかりと見てやがる…」

「ああっ…ファラオ…頼むッ見ないで、くれぇ…こんなっ…!」

「マリク…ッ」

『なぁマリク、ハァ…王様はこう言いたいんじゃねえか…?「本当に墓守の末裔だというのならその淫らさを貫き我が前に見せてみろ」ってな…』

「はふ…ばくらぁ…!」


真っ赤に染まったマリクの耳元で囁くバクラの声が聞こえ何を勝手なことを言っているんだと遊戯は思うが、洗脳を施されたようなマリクは、妖艶な笑みを遊戯に向けぎこちなく腰を振り始めた。
遊戯の心臓が、どくんと音を立てて鳴る。



「アッ!んあっんあっあはぁっ、あ、バクラああッ!突いてっ突いてッ!もっとペニス突き刺してくれぇッ…うあぁアッ!!」
「んんっどした、あっ?」
「遊戯にっ…ファラオにっ見てもらいたいからあ!ボクの厭らしいトコッあぁあ!沢山見てもらいたいからぁあ!!」
「ククッ…!そうかそうかぁ!ならオレ様も手伝ってやらねェとな、ァッ!!」


じゅズンッッ!!
バヅンッバヅンッバヅンッバヅンッ!ぐぶぶんっぐぶうっ!

「いッッッあああああああ〜〜〜〜〜ッ!!!」
肉のぶつかる激しい音とアナルから漏れ出る、これが男同士のセックスとは思えない程の水音と二人の表情に、かぁっと遊戯の顔が赤く染まり上がる。
激しいピストンはマリクの生暖かい腸壁を捲くり上げるようで、途方も無い快感に赤く張った亀頭の先端からは透明の体液が潮噴きのように飛び散っていた。

「いひゃああッ!あんあんアんんっ奥ッ奥ぅううう、」
「奥ッがっどうしたっつうんだぁ?!おらっ!オラァッ!」
「ばッぁあアア〜〜ッ!!!奥っ奥にペニス欲しいッバクラぁ!!」

王の前で墓守はみるみる淫らになっていく。
フィールドとテーブルの境目に手を掛けいやいやと首を振り喘ぐマリクはまだ足りないのだ、と。


「っく、はあッはあッペニスじゃねえってッいつも言ってんだろうが、あ!!」

「あはァッ!あっんあっアンッああんっちっ…ちんぽぉ!」

「マリッ」

「ヒャハっ」

「ちんぽ!バクラのちんぽズボズボ奥まで欲しぃいい!バクラの化け物チンポでズコズコ突いてくれぇっ!!!」

遊戯はもう声が挟めず、快楽に酔いしれ肌をぶつけ絡み合う二人のセックスを瞼の下ろせない目で見ていることしかできなかった。

「がぁっ!マリクッ!マリクっ!!」
「ひゃはぁあ!あ!ああ!あっあっあっやんッやんッいはぁあん!!や〜ッばくらのちんぽすごいっすごいいぃいい!!」
「イイぜマリクッ!王様もっ!はぁっぐあぁっ、テメェをッ認めてくださったみてェだぜえッ!」
「ふぁあっあんっ!ファラオ見てっボクのエッチなとこっもっと見てくださぃいいいッひゃああああ!」

バクラの多量のカウパーが結合部からぷちゃぷちゃと泡立つ。
四つ目の時計の砂はまだ半分以上残っている。
この地獄の宴は一体いつまで続くのだろうか。

もう絶頂も近いのだろう、全身を痙攣させるマリクと、普段の肌の白さからは考えられないほど顔を赤らめさせているバクラに、男の劣情を刺激されるものの時間を長く感じてしまう自分に遊戯は吐き気を催した。



「ひゃえぇっ…出るっ…でるぅっ!ばくっばくっあ!あん!やだぁ!出る出るでるでひゃう〜…!!」
「ハァッハァッハァッは!言っ、てみろっ何が出そうなんだマリク!?」

ガタガタガタッ
頑丈なテーブルの上に置いていた使用済みの砂時計たちが落ちていく。
完勃ちし白濁混じりのカウパーを溢れさすマリクの性器を扱き、バクラは更に腰の動きを速めた。

「ザーメンッ!ボクのザーメンぐびゅぐびゅ出ちゃうよぉ〜ッチンポに突かれてイッひゃうぅあんあんあんあんっやだぁあッ!」
「出せっ全部出せマリク!オレ様、もっテメェが孕むまで中にっブチ込んでやるからよぉ!」

しこりを的確にグチュグチュと突きまくられマリクの鈴口から、ごぷ、と白濁が浮かび上がる。

「あ〜っバクラぁあ〜…イくイくイくイくイクぅ…アァッイッイッイィッ…い!んあああああ〜〜〜〜〜っっ!!!」

ビュッびゅううっ……ぐびゅるゥウウウウッ!!
びしゃっビュグゥうっ!

「ぐっ……あ、オレ、も、イっ…あ…づッ…あぁああああ………ッ!!」


ペニスを握られたままマリクが大量の精液を噴き出し、達した直後の締め付けにバクラも我慢せず全ての子種を叩きつけた。
…その直後、



「はあん…あぁ…あはっ…あ…?や、いっやだ、嫌だ!バクっ出、…る…はあ……はあ…!」

「はぁっ…はぁっ、はぁっ…あ…何言っ…いま出したばっかじゃねえかッ…」

ペニスを最奥で止め、射精しながらカクカクと腰を前後に揺らしているバクラに、マリクは先程までとはどこか違う表情で悩ましい吐息を漏らしバクラに救いを求めてきた。


「ひッやだっ出……で…る………ッ」
「おい…、マリクッ?」

異様なまでに痙攣するマリクに、バクラは慌てて顔を確認しようとした。
その時、繋がったままだったため体を動かした際にマリクの腹部を圧迫してしまったのだ。


ぴしゃっ…ぴゅるっ…じょろろろ………
じおぉおおおおおお…!



「や、あ〜〜ッ…ぁ〜〜〜〜…!!」

薄い黄色の液体が恥ずかしがるマリクを余所に、ペニスから止めどなく放たれる。
唖然とその光景を見ていたバクラだったが、なかなか止まらない恋人の放尿のさまに、爆発的に笑い出す。

「ヒャハッヒャーハハハハハぁ!!おい見てるかよ王様ァ!」

言葉では遊戯の名を呼ぶバクラだったが、その琥珀の瞳はマリクしか見ていない。
テーブルから下ろし結合したまま椅子に着くもまだ尿は止まらず、マリクはひくひくと泣きじゃくっていた。
バクラの服もコートも、ぐしょぐしょに濡れている。

「ばっ…えぅっ…う、ぐっ…ひっ、くひっ……」
「どうしたぁ…ションベンしちまうほど気持ちヨかったかあ?」
「ボクっ…じゅ、ろくさいなのにっ…!漏らしちゃっ………えぇ…!!」


むせび泣くマリクを抱き締めたバクラは、大丈夫だ、泣くな、と震える背を撫でる。


「このゲームに勝ちゃあ、この事はオレとお前だけにしか分からねえんだぜ?」
「う……ぅあ、うんっ…」

「まだ時間もある。だから、な…もう一発ヤろうぜマリク」

「はァア…ッ!!うん、うんっバクラぁ!」



そしてまた口づけ合う二人。
名も無き王はやはり砂が落ち終わるまで動くことができず、強制的にバクラとマリクの交わりを見せつけられた。


















「オイ…オイ!聞いてんのか王様ァ?!」

「ッ!??」



いきなり白く弾けた目の前に遊戯は驚愕する。
対面にいるバクラは、不機嫌な表情で睨みつけてきていた。
体は動く。
マリクはいない。
バクラの服も濡れていない。
今までのことは一体……なんだったのだろうか………?

疲れのあまり意識が飛んで夢でも見ていたのだろうか
遊戯は思う。
どうやら自分のターンだったらしく、なかなか言葉を発そうとしない遊戯にバクラは苛々としていた。



自分の名を見つける為にも、相棒達を助ける為にも、コイツを倒す為にも、ゲームを再開させなければ。
古代エジプトの名も無き王のカードを手にした時だった。










「なァ王様よぉ」












闇の中からジャラン…と冷たい金属音が聞こえた。






【END】