パンドラの箱・後編
配送員の衝撃発言を受けたマリクは言葉の意味を理解しきる前に寝室へと連れていかれた。
「嬉しいねぇ、昼間っからアンタみたいな奥さんとヤれるなんて」
薄茶の作業服の上着と帽子を雑に床に放る配送員がベッドの上で震えるマリクを見てきた。鈍い眼光を宿す男の瞳は、完全に捕食者のそれだ。
鋭い男の視線を跳ね返そうと菖蒲色の瞳で睨みつけるも立っていた男はクク、と笑ってマリクの左隣に移動してきた。
「しかも合意の上っつうんだからよ。笑いが止まんねェぜ」
近付いた男の存在に身を堅くしていたマリクだったがその言葉にカッと怒りを感じた。
「なにがっ、こんなのっ強姦じゃないですか!」
「はぁ?」
「ひっ…!?あぅ!」
一瞬張り詰めた空気を感じ取り男と距離をとろうとするも、すぐに気付かれて手首を強く握られ阻まれてしまう。伸びてきた手で太股を撫でつけられたが、払いのけることが出来なかった。
「何言ってんだアンタ。さっきだって逃げようと思えば逃げれたじゃねえか。叫んで助けを呼ぼうともしねえしよ。本心じゃオレに犯されてえんだろうが」
「な、なんで」
男の口から出た言葉に不快な汗がじっとりと滲み出し動悸が速くなってくる。
けれどその言葉は、正しかった。
マリクは強姦だと言ったが、男が家に上がり込んでからマリクは一度として抵抗らしい抵抗を見せなかった。無意識に抵抗“しなかった”のだ。
本来マリクに渡されるはずの荷物をベッド上に持ってきていた男は、段ボールの表面を二、三度叩いた。
「ここの通販サイト、結構有名なんだぜ?最近頻繁に購入してるイイ女がいるって職場で噂になっててよ」
「いやっ……?!」
「だから新入りのオレが確かめてくるように先パイ方から仰せつかったワケよ。旦那、いるんだろ?エロい道具使って毎晩どんなエロいプレイしてんだよ、なあ?」
マリクは愕然とした。まさかそんな風に他人に知られ噂されていたなんて…。キンと高い音を立てて頭が痛み始める。締め付けられるような痛さに目を細めた。
だが信じ難いことに、心のどこかでこの突然現れた男に何かを期待してしまう自分がいた。
「デケェ乳…ぁ?」
男は腿を撫でていた手をシャツの中に差し入れるが、そこに胸を覆う下着の感触はなく、あたたかくボリュームのある乳房がむき出しであるだけだった。マリクは先程一人で淫らなオナニーを行っていた際にブラを外していたのを思い出した。
微かに驚いた様子の男だったが何も言わず、しっとり汗ばんだ褐色の首筋に鼻を埋め、たっぷりした乳房を揉みしだき始めた。薄い皮膚の向こう側から香ってくる、匂い立つ雌のフェロモン。
「脱げよ奥さん」
「脱ぐって、そ、そんな」
「脱げっつってんだろ!」
「いやあっ!」
胸をゆったりと揉む手とは反対の手で手首を捻り上げられてしまう。ここにきて初めてマリクは夫に罪悪感を抱いてしまった。
そうだ…この人は私を犯そうとしてる強姦魔なんだ…
今更になって込み上げてくる恐怖を感じたが、逆らえばどんな仕打ちを受けるか分からないため大人しく従うしかなかった。
ふくよかな片方の胸を下から揉み上げられながら、言われるままに一つずつボタンを外していく。茶色の肌で分かりにくかったがマリクの頬はピンクに染まっていた。
「もういいぜ」
「はい…」
制止の声をかけられ、手をベッドへ力なく落とす。途中まで開いたシャツの間から両乳房をすくい出された。はちきれそうなシャツからまろび出た豊満な二つの乳房。そのあまりの淫靡さに男は更に目つきを鋭くして生唾を飲んだ。
今度は背後へと移動し、硬直したマリクの身体に手を回して両手でぐにゅぐにゅと乳房を揉んできた。
「あっあっいやぁ!んふぅ…」
「やわらけ…旦那が羨ましいねえ。これだけデカかったらパイズリし放題だろ」
手のひらに乗せたぷたぷと揺らされる二つの柔肉。
パイズリの意味が分からなかったが、されるがままの淫らな快感に小さく喘ぐことしか出来ない。
色艶も張りも申し分ない乳房の中心では薄桃色の乳首が膨れ上がり存在を主張している。敏感になっている先端は、空気に触れるだけで触られずとも痛んできた。
「感じてんだろ。息が上がってるぜ」
耳元で低くエロティックに囁かれ、子宮がずくりと疼く。
「うぅ、ん、あぁっ」
「ククッ自分で乳首舐めれるんじゃねぇの?おら、持っててやるから吸ってみろよ」
「ひぅっ」
口角を上げた男は両手で熱脂肪を持ち上げ勃起した先端をマリクの口元へと持っていった。オナニーは毎日のように行っていたが自分で自分の乳首を舐めたことなど一度もなかったマリクは流石に躊躇してしまう。けれど身体をがっちりと拘束する男の力強さに、マリクは瞳に涙を浮かべながらも舌を伸ばすしかなかった。
硬くしこった乳首に舌先が触れた途端、甘い電流が背を駆け抜けていく。
(こんなエッチなこと…ごめんなさい、ごめんなさいアナタ…!)
優しく微笑む夫の顔が頭をよぎり涙が溢れてくる。それなのに、促される卑猥な行為と噴きあがる欲情にマリクは逆らうことが出来なかった。
自らの舌で乳頭を唾液まみれにしているという事実に危険な愉悦を感じてしまう。
「ほぅ…うめェじゃねえか。旦那にヤらされてんだろ?」
「ん、んちゅっハァ、ないですっ、ぅう」
「嘘つくなよ…ほら、自分で持て」
力の抜けきった手で乳房を持つようにと命令される。マリクは、とろんと溶けた瞳で男の言うままに動いた。
「ヒャハハ!自分の乳の味にやみつきかぁ奥さん?下弄っててやるから好きなだけ吸っときな」
泣きながらも夢中で乳首を吸い転がすマリクの太股を開帳し片手で肉付きの良いももを支え、もう片方の手指でショーツの中心部、最も恥ずかしい部分をなぞってきた。生温かくじっとりと濡れたソコ。
人差し指で何度も上下に擦られると新たな粘液が滲み出てくる。ぴちゃぴちゃと乳頭を舐めながら、マリクは子犬のような鳴き声を上げた。
「もうグチャクチャじゃねえか。何、マゾなのかよ」
蔑むような男の言葉が、マリクの心を擽ってくる。
「あうぅっ?!」
ショーツを縦に引き絞られ勃起したクリトリスが薄布にダイレクトに擦れてしまい、眩い閃光が目の前で弾け飛んだ。脳が痺れマグマを思わせる熱の波が押し寄せてくる。
なまめかしく腰をくねらせながら、ぐいぐいとショーツを縦に引っ張る男の腕に力無く縋った。
「お願い、ですから、も、やめて下さいっ」
「今更、だなぁ?」
「ひっ?!あぁあ〜〜ッ!!!」
最後の砦でもあったショーツを強引に膝まで下ろされる。愛液が、クロッチ部分とヴァギナを繋いでいた。
赤く膨れ上がっていたクリトリスをまるで人質とでも言わんばかりに摘み上げられてしまい、マリクは胸を突き出し悲鳴を上げた。たわわに実った乳房が生き物のようにぶるんぶるんと弾む。
飛んでしまいそうな思考を必死にたぐり寄せ、堪えるのは絶頂の襲来。
肉芽を素早くこねくり回される快感は、先の尖った針で何度も刺されているかのようだった。
「きゃはっあっあうんっ!だっだめぇ!」
「イきそうなんだろ?イっちまえよ、どうせアンタの痴態はオレしか見てねェんだから」
「はぁっ」
その言葉はとても理不尽なものだったが浅ましい自分が初めて許されたように感じて、マリクの心に小さなヒビが入った。
「はあっはぁ、はむッ…うぅん」
「オイっん、んむ」
首をひねり、マリクは自ら男の唇に己のそれを重ねた。
キスもまともにしたことのないマリクはどうすればいいのか分からなかったが、とにかく唇を半開きにさせて何度も何度も男にぶつけ吸い付いた。
はじめは突然のマリクの奇行に目を丸くしていた男も、口を開いて自分を激しく求めてくる柔らかくぬめった唇に、同じく深く合わせてきた。舌が水音を立てて絡まり合う。全身から漂い始めた雌の興奮した香りに男は何も口に出すことなく、黙ったまま指をクリトリスに押し当て上下にスライドしてきた。
陰核への直接的な攻撃。動かされる人差し指と中指の腹が濃厚な蜜を垂らす膣口にまで触れてしまい、エクスタシーが迫ってくる。
「はむっうぅん、あふっあ、あっああっあはぁんっ、も、あんっ」
指で肉芽を攻め立ててくる激しさからは想像できないほど優しく頬を包み込んでくる男。最愛の恋人にそうするかのように、マリクはすりすりと身を寄せた。
口元と言わず顎までもが唾液で濡れる中、白球が頭の奥で弾け飛んだ。
「ふあ…ああッあッイっいっく、あああっ!んはぁああああッ!!」
ちゅぱっと男から唇を離し背を丸めたマリクは絶頂に達した。押し寄せる快楽の波が全身を覆う。
ビクッビクッと腰を跳ねさせるマリクの股の中心、赤くとろけた膣口から溢れる一段と濃い液。
「アンタ犯されてんだぜ、分かってんのかよ?猫みてえな声でアンアン喘いでイきやがって」
生暖かい淫液を指に絡めた男が乳房の中心で硬く勃ち上がる乳首に塗りたくってきた。
「ひっ…はあっ、ああん、……あっ」
余韻に浸っている所を押し倒され仰向けにされる。
力を失った四肢を淫らに投げ出したマリクは、ぼやけた視界の中、ダンボールに手を伸ばしている男を映した。ガムテープが剥がされ中から艶めいた黒色の物体が現れる。
「オイオイ太すぎねぇかこのバイブ」
「やっあ、それはっ」
「今日の夜はコイツで旦那に弄ってもらう予定だったんだろ」
途中で枝分かれした極太のそれは先日インターネットで頼んだものに間違いなかった。鼻をすするマリクは充血した目で男を見た。
「どうよ?愛する旦那にヤられる前に突然現れた名前も知らねェ男に最初に使われる気分は」
滲む視界でマリクが目にしたのは、玩具を握りにんまりと笑う男。
心臓がどくどくと音を上げる。こんなにも背筋が震える感覚を、マリクは味わったことがなかった。
早く。
早く早く早く。
ぞく、と汗ばんだ褐色の肌が粟立つのが止まらない。
「脚開きな奥さん」
「あっあ…あ…」
近寄ってきた男の言葉通りに肉付きの良い両脚が勝手に動きM字に開脚してしまう。
ツルツルとしたシリコンの亀頭を何度か陰唇に擦り付けられた後、膣にずぶりと押し入れられた。
「きゃはぁん!!」
「スゲ、ずぶずぶ入ってくぜ。いつもどんだけ咥えてんだよ」
無慈悲なまでに一気に突き入れられマリクは背を反らせた。長すぎる冷たいそれは膣肉を掻き分け奥へと進んでくる。
「あうっううん、きゃああああっ!!?」
バイブが最奥にまで潜り込んできたのと同時に襲ってきた鋭い刺激。途中で二股に分かれ、いま中を犯す本体よりもはるかに小さいが先が鋭利になったシリコン部分が陰核に当たりマリクは絶叫する。
「いたいっやだぁいやあああ!やめてェエエエッ!!」
バイブを抜き差しされ、枝分かれした突起物が敏感な箇所に刺さり陰部から身体中へビリビリとした痛みが走る。刺すだけでなく、時折男は真っ赤に充血したクリトリスをシリコンの突起物でえぐってきた。
シーツを握り締めて悲鳴を上げ続けるマリクだったが、バイブを咥え込んだ陰部からは出し入れの度に透明な淫液が飛び散りくびれた腰はくねくねと動いていて、傍から見れば行為を望んでいるようにしか見えない。
「すげぇマン汁。ならこれはどうだ?」
「いあっ?!あああっ!あぁああああああ〜〜!」
くぐもったモーター音と共に狭い胎内で異物が蠢きだす。
グォングォンと音を立てて膣内で暴れるバイブにマリクは閉まらない口から涎を垂れ流し叫んだ。むっちりした太腿を持ち上げた男は追い打ちをかけるようにうねるバイブを激しく出し入れしてきた。
「アァッアァッあはああ!!やっやぁアアッ!!いやぁあーっ!!!」
堅く閉じた目からとめどなく流れてくる涙。痛みは確かにあるはずなのにマリクの下腹部からは快感しか湧き上がってこない。
「あっあぁーッ!やっあっあぁああー!いっいっイクっいくぅイっちゃうっ…!あぁっ…!?どうしてぇっ?!」
膣内で暴れ狂っていたバイブの振動が突如止まりずるりと抜けていく感覚にマリクは震え、肘をついて少しだけ身体を起き上がらせた。
ほんの少し。あとほんの少しで最高の快楽を掴めるところだったのに…!!
物足りなさに膣内がじくじく疼いてくる。
「ここからが本番だろ?淫乱なアンタをもっとイイモンで悦ばせてやるよ」
「え…?きゃあっ!!」
男の顔から視線を下に向けるといきり勃った物が股間の中心にありマリクは慌てて顔を逸らした。
肉眼で初めて目にする勃起した男性器。一瞬しか目で捉えなかったのに、もうマリクの脳内にその形は焼きついてしまっていた。玩具などとは違う、血の通った硬そうな肉棹は反り返り、先端は張ってはち切れそうで…
「どうした、旦那のよりデカくて驚いたかよ?」
「あっ、ひゃぁん!」
低く笑った男はマリクをベッドに縫いつけ、張った亀頭をヴァギナに押し当ててきた。くちゅ、ぷちゅ、と性器が触れ合って粘液の擦れる音がする。
先端が触れているだけなのに酷く熱さを感じてこれから行う未体験の行為に心臓がうるさいほど音を立てる。
「ほら、入れるぜ」
「そんな、あ、あぁ…!」
ぎゅぷ…と質量のあるペニスが中に埋め込まれていく。
触れれば弾けてしまいそうな厚い肉傘が、濡れそぼって充血した割れ目にめり込んでくる感覚。
完全に反り勃ち青い血管が幾筋も浮いた太い肉の幹が、花弁を更に押し拡げて淫蜜を滴らせる肉壷を圧迫してくる感覚。
一度迎えたオーガズム、その後絶頂寸前まで持っていかれたマリクの内部はこれまでにないほど濡れきっていたので男のペニスを引っかかることもなくすんなりと飲み込んでしまったのだが、そのたった一瞬のうちに今まで自分を慰めていたものは所詮玩具でしかなかったのだと即座に気付いてしまった。
「スゲェな。入れただけでここまで気持ち良いマ×コなんて初めてだわ」
ペニスを全て埋め込んできた配送員の男は自身のシャツを脱ぎ捨てながら言った。
Tシャツを脱いだ男の白く引き締まった上半身は汗ばんでいる。玄関で顔を見たときは中性的な細身の美青年だと思っていたのに今目の前にしている男の内から発するオーラは強く雄々しいもので、沸き立つ雄の色香が視覚的にマリクの雌を刺激してくる。膣内がまた一段と濡れ、収縮した。
「どうした?さっきからナカがひくつきっぱなしだぜ」
「あっちがうのこれはっ、あ、やぁ、あぁん」
「ナニが違う、って?」
「きゃあんっ!!!」
奥まで突き入れられていた怒張がゆるゆる抜けていく甘さを伴う物足りなさに腹を震わせる間もなく、すぐさま一気に突き入れられてマリクは背をぐんと反らして声を上げてしまった。
「あっあ、あぁぁ」
「あーあー。オレ様のチンポに吸い付いてきやがる。アンタには愛しい愛しい旦那サマがいるってのにいいのかねェ?」
「ああっああぁぁ〜」
水音を立てながら亀頭で膣の上壁をゴリゴリ擦りながら抜け出ていくペニスに腹部が少しだけ盛り上がる。抜けきる直前で膣口をぐいぐいと押し上げられて、今度も同じように上壁を擦りながら入ってきたが出て行くときとの快感の違いに、はしたなくもだらしのない喘ぎ声が出てしまう。
(こんなの…!どれだけ道具で激しくオナニーしてもここまで感じたことなんてなかったのに…!)
「悦さそうな顔してんなぁ奥さん」
「ち、が、あ」
「そうか。じゃあ」
「え?」
「もっと悦くしてやるよっ!」
「えっあっ!あっあんっ!あんっあんっああああああん!」
じっくりゆっくりと濡れ滴る内部を味わうように動いていたペニスが獰猛な獣のごとく抽送を始め、マリクから悲鳴ともとれる嬌声が上がった。
男なら誰だって誘惑されてしまうだろう、肉感的なマリクの太腿から足首まではずいぶん前から汗ばんでいた。そんな汗ばんだ内腿を撫でた男は手を滑らせて両足首を掴み、左右に広げて持ち上げ肉太の性器で蜜壷をピストンしてきたのだ。
凹凸のある柔襞を血を滾らせた男性器が何度も擦りぶちゅっぼちゅっと卑猥な音と淫液を纏って蜜壷内を行き来する。淫らな蜜液はペニスにたっぷり絡み付き男が出し入れすればするほど粘度を増していく。二人の結合部が粘り気のある体液で泡立っていっていることにマリクは気付けない。頭から爪先、身体中に襲い掛かってくる快楽の攻撃に意識を飛ばされないよう必死で耐えていたからだ。
「あんっくうぅ!はうっいやあっアッアッ!アァン!!」
怒張で串刺しにされた女体が激しくピストンする男によってがくがくと揺さぶられる。仰向けでもなお大きさを保っている褐色の豊満なバストは上下に弾み男の目を楽しませた。
「ヒャハ、イイ声出すねえ奥さん」
「ああ、ううう、んっんんっン〜〜〜〜〜ッ!!!」
「ぐッ…!?」
頭の中が快楽の電流でショートし、抽送する男をよそにきゅううぅっと膣内が締まってマリクはあっけなく達してしまった。
挿入前に絶頂ぎりぎりまで高められていたのもあったかもしれないが肉棒を入れられてまだ数分も経っていないというのに。
オーガズムに内腿と腹筋を痙攣させながら、マリクは自分の身体がこれまでにないほど感じていることに驚きを隠せなかった。
(こんなに早くイっちゃうなんて…私…!)
「なに一人で勝手にイって満足してんだよ」
「あッ!!?んん〜〜っ!!」
胎内で動きを止めていた男根にズンッと最奥まで突き上げられ衝撃で軽く潮を吹いてしまった。
ぐりっぐりっと亀頭で押し上げられる子宮口が、淫液でしたたる膣内で男の張った先端と熱くぬめったキスをしている。収縮する内部のきつい締め付けに耐えた男のペニスは先程までよりも大きさを増しているのが受け入れているマリクにははっきりと分かった。
制止の言葉を口にするより先に、恐ろしく勃起したペニスがピストンを再開してしまう。
「アァン!だめえ!おねがいっイったばかりなの!ねえっ!とまってっおねがいっこれ以上突かないでえ!!」
「知るかよンなモン、奥さんアンタ、テメェだけイっときながらそれは無ェんじゃねえの?」
「あーっあーっだめぇえええっ!!」
ぢゅぶっぢゅぶっズボッズボッと卑猥な音が上がりマリクは乳房を揺らしながら泣き悶え懇願した。
アクメを迎えたばかりの敏感な内部に肉棒を刺される度に子宮が震え、鼓動が速くなり、身体中の火照りが過激な淫欲の熱へと姿を変えていく。胎内から湧き出る蜜液が激しいストロークで体外に飛び散りマリクの淡い茂みを濡らしていた。
「イくっイくぅっまたイっちゃう!あ〜〜〜ッ!!」
「っ!」
再度訪れた絶頂より先に素早くペニスを引き抜いた男に掴まれていた脚を解放され、シーツを掴んで腰を跳ねさせながらビクビクと達した。
「はぁっはあっはあっあぁあ」
「溜まってんのかよ。派手にイっちまって」
唾液で濡れたマリクの口元。息をするのも忘れて泣き叫んでいたせいで呼吸が追いつかない。
(荒々しく滅茶苦茶にされてるのに。こんなの私…私はどうなってしまうの!?)
快感に身悶えながらマリクは思った。初めてのセックスがここまで気持ち良いものだなんて。
男は必死で空気を取り入れるマリクをよそに、全身に汗を纏い強すぎる絶頂の快楽に震えている艶美な肉体に手を回しうつ伏せにしてきた。
力の入らない下半身を持ち上げられて無理矢理尻だけを上げた四つん這いにさせられてしまう。
これから行われる行為が容易に想像できて、腹をひくひく震わせながら泣いて訴えた。
「だめえっもうむりッ無理ですっ身体が持たないのっ」
「はあ?」
「はうう!」
パシンッと肉付きの良い尻臀を打たれマリクは息を呑んだ。
「嘘言ってんじゃねえよ奥さん。じゃあなんでこのやらしい尻は揺れてんだ?」
「し、知らないっ揺れてなんてっんあッ!!」
淫液を零す赤く溶けたクレヴァスに先程まで埋め込まれていた先端を擦り付けられる。靡肉と男の亀頭が擦れてぬめった音が鳴った。
「本当の事言ってみろよ。オレのチンポでどうされてェのか」
「ううんっふあぁ、だめェ…だめえ…」
未だ達していない怒張した肉茎を片手で握った男が亀頭から括れまでを濡れた蜜壷に押し込んできた。先端部分だけをにゅぽにゅぽと抜き差しされてもどかしさで腰が揺らめいた。
男にクリトリスを弄ばれた際にマリクの理性に入った亀裂。その亀裂は徐々に広がり心を侵食していったが、崩れきる寸前ではあったがまだマリクは自我を保っていた。
しかしもう一度この男の隆起したペニスで貫かれてしまったら、きっと。
(どうされたいかなんて…そんなことを口に出せば後戻りなんて出来なくなる…!)
(これ以上この人とのセックスを味わってしまったら、いつかする夫とのセックスでは絶対に満足なんて出来ない…!!)
(ほしい、ほしい!欲しい!!けどっ!!!)
自分の爛れた欲望さえひた隠しにしていれば平穏な家庭のままでいられるのだ。今までだってそうしてきた。だから、これからも。
「マリク」
突然呼ばれた自分の名前に、興奮で少し掠れたエロティックな声で呼ばれた自分の名前に、初めてのセックスの最中で呼ばれた自分の名前に、驚きと共に下半身がきゅううっと熱くなった。
「伝票にはそう書いてあったな。なあマリク、もうラクになっちまえよ」
「ど、どういう、意味」
「素直になれ。吐き出せ。曝け出しちまえ。そうすりゃあアンタの知らないようなもっと気持ち良いコトを教えてやるぜ…なぁ?」
傲慢な言葉は、もう優しいものにしか聞こえなかった。これまで自らを覆っていた殻が音を立てて崩壊していく。
性の香りに満ちた部屋の空気を吸い込んだマリクは意識して腰を揺らし、本能に従ってうっとりと口を開いた。
「お願い…あなたのペニスが欲しいの…っ」
「いいぜ、マリク」
女の悦びに目覚めたマリクは夫の笑顔よりも名も知らぬ男との危険な交わりを選んだのだ。
身体中が熱く火照り涙がどっと零れ落ちたが、水音を上げながら子宮口まで一気にペニスを押し込まれれば何も考えることは出来なかった。熱望していた男の剛直が胎内に埋め込まれたことに、箍(たが)が外れ本能が剥き出しとなったマリクはただただ全身を震わせて悦んだ。
マリクの腰を掴んだ男が容赦なく腰を打ち付けてくる。部屋に響く肉と肉のぶつかる音。
「ああんっあんっこれっこれえぇっあああ〜〜〜っ」
「ヒャハハハ!ンなにイイのかよオレ様のチンポが!」
「いいっいいのっあううぅん!」
「なんだよッ旦那とのセックスじゃ満足できてなかったのか?」
「したことないっ夫とはしたことないぃっ今まで誰ともっああっアアッ!」
「ァア?じゃあテメェはオナったことしかねぇ淫乱な処女だったワケだ!あんな太いバイブを使ったりして!」
バツンッバツンッバツンッと激しく膣内を突かれながら正直に告白する。
「アァッ!そうっそうですっ私いつもいやらしいことばかり考えててっオナニーばっかりしてたんです!!んっんっあぁんっ!!」
「なら感想を聞いてやらねえとな。どうだマリク、初めてのセックスは!?」
子宮口を突くピストンの力強さが子宮全体に響く中、肘をついて少しだけ上体を持ち上げるマリクの姿はもう雌の獣にしか見えない。
張りのある太腿は愛液でびしょびしょになりシワまみれのシーツには幾つもの染みが。
「すっすごいっ気持ちイっ気持ちいいの〜〜んーーっ!!」
「何が気持ちイイのか言ってみろよ!」
「ペニスぅっ!あなたのペニスで奥まで突かれるのが良すぎるのぉっああっあ〜〜!!」
理性をかなぐり捨て思ったことを次々に口に出していく。吐き出す度に自分自身が淫らに、けれどラクになってより感度を増していくのが分かった。
激しい腰の動きを緩めた男が回した手でクリトリスを摘んでくる。直後肉芽から走った下半身を痺れさせる甘い電流に堪らず太股を擦り合わせたかったが、大きく開脚して後ろから男を受け入れている状態では叶わない。
細い眉を寄せたマリクはふるふると震えて涙を流した。
「いやあっそれっそれダメぇぇおかしくなるぅっあんん〜〜んぅ〜ふああ!」
「クリ弄られんのが相当好きみてえだなぁ?」
「はうぅぅっだっだめぇぇぇ!!!」
猛々しいペニスが内部を行き来する生温かい快感と肉芽をこねくり回される鋭い快感に目の前で白球が弾けはじめる。男が剛直を突き立てれば柔らかく包み込み、引き抜けば強く絡み付く愛液滴る肉壷。
マリクはクリトリスを愛撫する男の手に震える自身の手を被せた。またイってしまう前にどうしても聞いておきたいことがあったのだ。
「あ、ああ…名前…」
「何だ?」
「あなたの名前を教えてぇっ…!名前で、呼ば、せて…!」
溶け堕ちた女の顔で力無く喘ぐマリクの声に、男のペニスが中で反応した。
「…イイぜ、教えてやる。バクラだ」
「ぁんっバ、バクラさん……!!」
「っく、それじゃあそろそろオレ様もイかせてもらおうじゃねえか」
「あっ!!!アッアッ!きゃああああああああぁぁっ!!」
今までの動きがまるで手加減していたと思えるほどの強く重い攻め立て。結合部から出る音と濡れた肉尻と男の腰がぶつかる音が合わさってどぶっどぼっどちゅっという、自身の身体から出ているとは信じたくない程の淫らで欲に溺れた水音に耳まで犯されている気分になる。
マリクの肉欲にまみれた艶かしい身体は限界にきていた。
「イきたいっバクラさんっああんバクラさあん!アソコがおかしくなっちゃううぅぅっもうだめぇっもうだめえぇイかせてぇええ!!!」
「ヒャハッ!エロ声上げてイっちまいなマリク!」
一際強烈にペニスを打ち込まれた瞬間収縮したマリクの胎内と意識が大きく破裂した。
「んああああああぁぁ〜〜〜〜ッッ!!!」
「かなり良かったぜアンタの身体」
配送員…バクラが下半身を正し服を着ているのが視界に映る。
膣内に射精された大量の精液がごぷりと音を立てて流れ出てくる度に肌が震える。尻を高く上げたままの姿のマリクの目は虚ろだった。
初めてのペニス。初めてのセックス。初めての限界を超えた快楽。はじめての、異性への胸の高鳴り。
ベッドから降りたバクラがドアに向かっていくのが見える。
(バクラさん…帰っちゃう。あなたのせいで、あなたのせいで私の日常は完全に壊れてしまったのに)
これからどうしていけばいいの。そう呟く力さえ残っていないマリクの目に映ったのは部屋を出る直前で振り返り意地悪い笑みを浮かべるバクラの姿だった。
「これからも注文の荷物はしっかり届けに来てやるぜ、マリク?」
―――数週間後。
夫を見送り家事を済ませたときには正午を回っていた。
昼食をとり片付けをしてソファで身体を休めていると携帯が鳴る。会社にいる夫からだった。
「んん、はいぃっ…はあっ今日もっ遅くなるんですね…っ」
掌サイズのローターが微細な振動で淫核に押し当てられる。喉の奥で小さく鳴くマリクは肩を震わせながら携帯を落とさないよう注意した。
「あぁん…分かりましたっ夕飯っ…ぁ…作っておきます、からぁ…んん…」
夫が出勤してから三回、昼食を作りながら一回、食べ終えて一回、休憩と言いつつ今はソファで六回目。
「こっ声、ですか…はぅ…!いえ、ああっ喉を少し痛め…て…!…んぅぅ…!」
床には先日注文した玩具の入ったダンボール。配達に来たのは白銀の長い髪の男。
「はい…ぁん…ありがとう…ございます…!今日はゆっくり…〜〜〜っ!しておき、ます、からぁ…!」
背後から抱き締められるマリクはソファに座る男の上にすらりと長い脚を大きく広げて跨っていた。
「じゃあっ…お仕事が、んばってくださいねっ……ぁんっ…はい…私も愛してます、あなた…」
終話ボタンを押した携帯を床に落とす。
切れたと同時に激しく揺さぶられマリクは裸体に汗を浮かべてバクラとキスをした。