下僕
「デュエルしようぜマリク」
唐突に目の前に差し出されたデュエルディスクとニヤニヤ笑うバクラに交互に目をやって、マリクはきょとんとした顔になる。
「今から?やだよ」
「ははァ。さてはオレ様にボロ負けするのが怖ぇんだろ」
「その手には乗らないからな」
バクラに向けていた視線をぷいと外して手元の雑誌へと移す。折角の寛ぎの時間を邪魔されてたまるものか、とマリクは眉を寄せながらページをめくった。
しかしそこでマリクはふと思い出したのだ。
これまでのバクラのデュエル戦績を。
「貴様はファラオにもアイツにもデュエルで勝利してないじゃないか。それに貴様の戦術は二度も見ているんだぞ。ボクとやったって結果は見えてるさ」
にんまりと勝ち誇った顔をバクラに向ける。フン、と皮肉と共に鼻を鳴らしたマリクにバクラの肩がぴくりと揺れた。
「…あ?じゃあなんだ、オレ様じゃテメェに勝てねぇってか?」
「そういうことだね」
いつもとは逆の立場に思わず嬉しくなってしまうマリク。
ソファから起き上がり、苦々しい表情で口を尖らせるバクラの前に立って手に持っていたデュエルディスクを乱暴に奪った。
「見せてやるよ。ボクと貴様の力の差ってやつを」
そう言って、楽しげにマリクは自室へとデッキを取りに行った。
…………にやりと口角を持ち上げたバクラに気付かないまま。
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「う、うわぁあああああああッ?!!」
「クク、どうしたマリク?テメェの可愛い下僕(しもべ)じゃねえか」
そう怖がんなよ…
ぬるぬるぬるっ
ぷちゃっ
べちゅちゅ
聞いていてあまり気持ちの良いものではないもったりとした水音。
己の身体にずるずると這い上がってくる物体に、マリクは恐怖に顔を引き攣らせた。
「何やってるんだ!おい!リバイバルスライム!!!」
バクラの先攻によって始まったこのデュエル。何か仕掛けてくると構えていたが、レベル1のモンスターを召喚後に魔法カード、ワンチャン!?の効果でデッキからレベル1のモンスターを手札に加えたところまでは良かったのだが。
その後加えたカードを場に出すことをせず効果によってバクラは自らダメージを受け、リバースカードを一枚セットしてターンを終えるという奇怪な行動をとった。
久しぶりのデュエルで少なからず昂っていた気持ちをバクラの理解出来ない行動のせいでばっさり切り捨てられてしまい、さっさと終わらせてしまおうとリバイバルスライムを場に出したマリク。リバイバルスライム+ディフェンド・スライムの例のコンボだ。どこまでこの戦術が好きなんだと問いたいところだがここは目を瞑ってもらいたい。
主の叫びにリバイバルスライムは可愛らしく顔?の辺りをたぷんっと傾げて更にマリクへと絡みついた。
「〜〜〜〜っ!!!!おいバクラぁっ!これは一体どういうこと…ぁっ、あははっ、やめッ」
少し離れた場所に立つバクラをキッと睨むも身体を覆うスライムに脇腹で蠢かれくすぐったくて笑ってしまう。
服の中へと侵入してきたスライムはぬちゃぬちゃと動き続けていた。
「どういうことか聞かれてもなあ。攻撃時の宣言に気合が足りてなかったからじゃねェか?」
「そんなワケあるかあああッ!!!ぁ…んッ…!」
思わずツッコミを入れるが突然背を駆け抜けた刺激に甘い声が出てしまった。
ドロリと溶けながらも弾力をはらんだスライムが、まだマシュマロの如く柔らかいマリクの乳首に吸い付いてきたのだ。
きゅ、きゅむむッ
「ならソイツなりの求愛行動かもな。いいじゃねえか、相手してやれよ」
くつくつと笑いながらバクラはその場へと腰を下ろした。
ぎゅちッ、ぎゅむ、くにゅり
「ヒッ…あっあはァッ!やっやめッいやだッ!」
項を粟立たせながら甲高い声を上げるマリク。服の中で縦横無尽に動き回るスライムを剥がそうと試みるも、マリクのほぼ全身を覆う体積へと姿を変えた半固形の物体は上手く掴むことすら出来ない。
水は時に形を持たぬ盾となりどんな攻撃をも受け流し――!
そういえばボクそんな事言ったこともあった…ッ!!!
過去の黒歴史自らの発言を思い出し、マリクは当時のままのデッキ構築で挑んだことを激しく後悔した。
というかスライムを入れていたことに後悔した。
ぶちゃりと体に絡み付くモンスターはデュエルディスクまで覆ってしまい、これではマリクは次のターン新たなカードを引くことが出来ない。
「バクラぁっ!あ、ひっ見てないで助けろよ!え、うわ!んっ!!」
がばぁッ
バクラに救いを求める言葉を口に出した瞬間びくりと動きを止めたスライムが、突如暴れ出しマリクの衣服を剥ぎ取ろうとしだす。
形状を好きに変えられるスライムは、マリクの腕を頭上に固定し所々生地を引き裂きながらあっという間に上半身を脱がせてしまった。
ぷるるるるるるんっ
「あ……やだぁっ…!」
透明なスライムに覆われた胸の中で真っ赤な二つの乳首がピンと勃ち上がっている現実を見せられ、マリクの視界は一瞬にして涙でぼやけた。
「ヒャハハ、マリク、テメェのターンはまだ終わってねェんだぜ。助けてやりたくてもオレ様には出来ることがねえんだよ」
じゅっ!
じゅるるるるる!ぢぅううううっ!
「ひはァアアッ!!!」
こっちに来て助けろ、と言おうとするも敏感な乳首を引き伸ばされながら吸い上げられ、嬌声しか上げられない。ぐぐ、と力を振り絞って場に伏せられたバクラのカードを指差した。
「あうっ!それ、なら、その伏せカードを使ってなんとかしろよっ……!」
「これかァ?」
きゅっ、きゅ、ぷるんッ
「ふはっあぁ!はやっ、早く……!」
もう何だっていいから早くしてくれ、とぎゅっと目を瞑る。
そんなマリクに対してハァ、とわざとらしく溜め息を吐いたバクラは片手を前に翳した。
「…リバースカード、オープン」
どぷっ!!!!!
「んぐっ?!!んむ゛ぅうううう〜〜〜っ!!!」
バクラがカードを開いた次の瞬間、スライムがマリクの口の中に入り込んできた。
ゴッぐちゅごぷっごぷっごぶっ
ぶちゅるっ!!
ぢゅぷぷっ!!
ズポンッ!!!!
「〜〜かはッ!!う、うぐっうぇえええ……ッ!!!」
ぐちゃぐちゃと喉奥まで口内を行き来していたスライムが音を立てて出て行きげほげほと噎せる。
バクラの発動したそのカードとスライムを見て、マリクは絶句した。
「オエッげほっ………なっ…!?うそだろ…!!!」
「巨大化。使ったらヤバい気がしたんだけどな」
巨大化。
装備魔法。自分のライフポイントが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。(遊戯王wiki参照)
この効果によってリバイバルスライムは二倍の攻撃力と共に二倍の大きさを手に入れた。
「あアッ!や、いやだっ!!!」
圧倒的な力を手に入れたスライムにいとも簡単に服を破かれ、ついにマリクは全裸になる。
ゼリー状の物体は、つつぅ…とマリクの股関節から太股の上をねっとりと這い、滑らかな肌の感触を楽しんでいるようだ。そして触手の如く伸びた一部が口を開けるように開いたかと思うと、緩く勃ち上がっていたマリクのペニスに勢いよく絡み付き、吸い上げた。
ずちゅるるるるるるる!!!
「ひっあっあっあっあぁッあアアアアアアアアア〜〜ッッッ!!!!」
半透明のモンスターゆえ勃起したペニスを吸い上げられる様子がまざまざと分かってしまう。ソリッドビジョンのはずのモンスターに脳をぐちゃぐちゃ掻き回すような強い快感を与えられてマリクは背を仰け反らせた。
自分のペニスを吸い上げてくるその動きに、ふとバクラのフェラチオを思い出す。
がくがくと震えながら、マリクはバクラへと顔を向けた。
ぼぢゅ!ぶぐっ!
ヂュウウウ!!
「あっあっあ、バク、っひ!!助けっ、ァァアアッ!」
「…………」
尚も吸い上げる行為を続けるスライムに言葉を遮られながらもマリクは必死に助けを求めるが、バクラは黙ってこちらを見ているだけでピクリとも動こうとしない。
そんな男に対してマリクは鼻の奥がツンとしだし、ぼろぼろと大粒の涙が溢れ出してしまった。
「……うっ、ひ、えぐっ…いやだ…ボク、こんなのにイかされたくない…助けろッたすけてくれよバクラぁっ!」
「……………チッ」
「わっ!」
バクラの舌打ちが聞こえた、と思ったら目の前が白く光りマリクは反射的に目を瞑った。
「おいマリク」
「……へ?あ、れ?バクラ…」
いつもの不機嫌を含んだ声が鼓膜を震わせる。恐る恐る瞼を上げると、今度はバクラが身体の上へと覆い被さっていた。
纏わり付いていたスライムはまるで元から存在がなかったかのように姿を消していて今この部屋にいるのは全裸の自分とバクラだけ。
「ばくら」
「可愛い顔して呆けやがって。テメェ今の状況分かってんのかァ?」
「え?んむっ」
ちゅ…ちゅ
柔らかいものが触れた、かと思う間もなく呼吸を塞がれた。頭を包みながら髪を梳く優しい手の動きにとめどなく涙が溢れてくる。上唇と下唇の隙間を軽くつついてくる舌を中へと迎え、自ら舌を絡ませた。
先程まで犯されていた口内を熱い舌が浄化していく。
「あむ……ぷあ、あふ、バクラぁ……」
抜けていった舌にいやいやと頭を振りバクラの頬を両手で包んで引き寄せた。
「マリク…オレ様の舌が欲しいのは分かるけどな…こっちにも欲しいんじゃねえの?」
「あっ」
カウパーでいやらしく濡れていたアナルにバクラの指が入り込んできてマリクは小さく声を上げた。唯一スライムに犯されていなかった胎内は、待ち望んだバクラの身体の存在に歓喜して絡み付く。
「熱ぃよなテメェのナカは」
「んッソコ…や…っ!」
「クク、ココかぁ?」
ぐりぐりと前立腺を押し上げるような指の動きに、ぴくん、ぴくん、と腹筋が震えてしまう。堪らなくなってバクラに頭に手を回して抱き寄せた。
すると、ちゅむ、とスライムに弄られ続け無残に腫れ上がった乳首を吸われマリクは思わず眉をしかめる。
「も…乳首やだ…ッ」
「あ?あぁ、悪かったな」
ずぽりと卑猥な音と共に指を引き抜かれたアナルは次のモノを求めて蠢いている。
甘く疼く腹は、早く灼熱のペニスで満たしてくれ、と叫び声を上げていた。
「バクラ…ッバクラぁ…」
「マリク……」
とろけた思考で再度唇を重ね合わせ、二人は熱く深く身体を交わらせた。
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眠りについたマリクのベッドに腰を掛けたバクラは目を細めた。
「まさかパラサイトマインドにこんな使い方があるとはなァ」
今回バクラが下心ありありで企てたスライム強制レイプデュエルの真実は、事前にマリクのデッキを拝借して両手で包んだリバイバルスライムのカードに千年リングの力でバクラの一部を封印→ソリッドビジョンによって実体化&二つの千年アイテムの力で実体化したリバイバルスライムをバクラの意思で動かしてマリクにあんなことやそんなことをした、というワケである。
バクラの体で服を引き裂いたりなどした日にはマリクからの復讐(主にセックス禁止令)が恐ろしいので、バクラはリバイバルスライムを使うことによってアブノーマルな欲望を実行でき、かつ思う存分マリクの痴態を堪能することが出来た。
ちなみに床に腰を下ろしてリバイバルスライム(バクラ)がマリクを犯すのを見ている最中、本体(バクラ)の方の股間はギンギンに勃起していた。マリクには気付かれなかったが。
手の中のリバイバルスライムのカードを床へと放り、規則的な寝息を立てて深く眠るマリクに目をやった。
「ちょっとやりすぎちまったけど楽しめただろ。なァ、マリク?」
低く笑ったバクラは一つ欠伸をしてマリクの隣に潜り込み、自らもまた眠りについたのだった。